株価の予測は難しい|専門家でも当たらない理由と投資家の戦略

投資で増やす

株価の未来を予測したい——投資を始めた人なら一度は考えるテーマだと思います。しかし、私の結論はシンプルです。「未来は予測できない」。だからこそ、私は「予測しないこと」を前提に、厳しい時期を乗り切れるディフェンシブな戦術を取るようにしています。

専門家の予測はなぜ外れるのか

政治や経済について、テレビやインターネットで専門家が自信満々に予測を披露しているのを目にします。彼らの予測はどれほど正確なのでしょうか?

心理学者のフィリップ・テトロックは、政治・経済分野の専門家が公表した予測の精度について、長期間にわたって研究しました。その結果、彼の著書『専門家の政治予測』で、「専門家の予測は、チンパンジーがダーツを投げて決めるのとだいたい同じ」という衝撃的な結論を出しています。

さらに興味深いのは、以下の傾向も見られたことです。

  • 知名度が高い専門家ほど、予測の正確さが低い
  • 専門家は、自分の得意分野でこそ予測を外しやすくなる

なぜ、専門家は予測を外すのでしょうか? テトロックは、その理由として以下の3つを挙げています。

  1. 思想信条への固執:自分の考えにこだわりすぎ、柔軟性に欠ける。
  2. 単一視点:一つの見方に固執し、他の重要なサインを見逃す。
  3. 過度の自信:自信満々に断言する態度が、かえって予測の精度を低下させる。

テトロックは、これらの問題を解決するために、**「知的謙虚さ」**の重要性を説いています。つまり、自分が間違っているかもしれないと常に自問自答し、異なる意見や新しい視点を受け入れる柔軟性を持つことが、より正確な予測につながるというのです。


社会科学の予測が難しい理由

経済や社会の動きは、自然現象とは異なり、予測を非常に難しくしています。その主な要因は以下の通りです。

因果関係の複雑さ

社会現象には多くの要因が複雑に絡み合っており、ある事象が別の事象に影響を与え、その結果がさらに元の事象にフィードバックするという、「再帰性」が働いています。例えば、「多くの人が買っている本だから自分も買う」といった行動は、情報の流れが速い現代社会で特に顕著になっています。このような複雑なフィードバックループは、未来の動向を正確に特定することを極めて困難にします。

カオス理論

カオス理論は、「初期値鋭敏性」という性質を明らかにしました。これは、わずかな初期条件の違いが、時間の経過とともに予測不可能なほどの大きな差異を生み出すというものです。有名な「バタフライ効果」がその一例です。

私たちの現実世界では、初期条件を無限の精度で知ることは不可能です。そのため、短期的な予測はできても、長期的な予測はほぼ不可能となります。


ウォーレン・バフェットに学ぶ「謙虚な投資」

「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェットも、市場の予測は不可能だと考えていました。彼の1986年の言葉を引用します。

「繰り返し流行している恐怖と食欲という極めて感染しやすい2つの病は、投資の世界で永遠に発生し続けるだろう。これらの伝染病がいつ発生するのかは予測不可能だ。そして、それによって引き起こされる市場の異変も、その期間や程度を含めて同様に予測できない。だからこそ、いずれの病についてもその発生や消滅の予測をするつもりはない。我々の目標はもっと控えめなもので、他の人々が恐れているときに貪欲に、他の人々が貪欲なときに恐れているだけだ」

 バフェットは、投資家の「恐怖」と「食欲」という感情が市場を動かすことを理解しながらも、それがいつ、どれくらいの規模で発生するかは予測できないと断言しています。だからこそ、彼は予測を試みるのではなく、市場の過度な楽観(食欲)や悲観(恐怖)に対して、冷静かつ逆張り的なアプローチを取ることを心がけています。

要するに、正確な予測ではなく、不確実性への対応力 が投資において重要なのです。


予測できない世界で生き残るには?

未来が予測できないのであれば、私たちはどうすればいいのでしょうか?

投資の世界でも、日常生活でも、完璧な予測は必要ありません。重要なのは、「将来がどうなれば自分の資産に大きな影響を与えるか」を考えることです。

不確実性を受け入れ、自分が信じていることが本当に正しいのかを常に問いかける「知的謙虚さ」が重要になります。


予測できない世界での私の戦略

未来を正確に予測することは不可能である、という前提に立ち、私は以下のような方針で投資に取り組んでいます。

  1. 集中投資を避ける:個別株に集中投資した場合、予測が外れたときのダメージは計り知れません。リスクを最小限に抑えるため、全世界株式のような分散投資を基本とします。
  2. 規律を守る:株価が上昇しているときでも、浮かれて株式の比率を増やすようなことはしません。厳しい時期を乗り切るため、ディフェンシブな戦術を常に心がけます。

市場の動向に一喜一憂せず、長期的な視点を持つこと。そして、予測できない未来に備えるための規律ある行動こそが、成功への鍵だと私は考えています。

あなたの投資に対する考え方はどうですか?

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