賃貸 vs 持ち家|FIRE視点でシミュレーション比較!どちらが資産形成に有利か?

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はじめに:持ち家か賃貸か ― 人生最大の選択

住宅は人生最大の買い物であり、同時に数千万円規模の「投資」でもあります。

私自身、実際に持ち家を購入・売却した経験がありますが、その過程で不動産投資としてのリスク賃貸の計り知れない柔軟性の両方を痛感しました。

この記事では、具体的な数字を交えつつ「持ち家 vs 賃貸」を徹底比較し、特にFIREセミリタイアを目指す方に役立つ視点から、どちらの選択が有利かをまとめます。


持ち家=不動産投資という現実:無視できないリスク

持ち家は「資産」と呼ばれがちですが、実態はローンというレバレッジをかけた数千万円〜1億円規模の不動産投資です。

  • 価格変動リスク: 価格は景気・政策・社会情勢で大きく変動します。購入時に市場が好調でも、将来の価格は誰にも読めません。
  • 含み損リスク: 価格が下がれば、ローン残高が物件価格を上回る「含み損(オーバーローン)」となり、売却したくてもできず、身動きが取れなくなる深刻なリスクがあります。

この価格変動と流動性の低さが、特に将来の自由を求めるFIRE層にとって大きな足かせとなり得ます。


賃貸のメリット:柔軟性とフットワークの軽さ

賃貸の最大の魅力は、圧倒的な柔軟性リスク分散です。

  • ライフステージに応じた住み替えやすさ: 転勤、結婚、子育て、子どもの独立、キャリアチェンジなど、人生の変化に柔軟に対応できます。持ち家のように売却の手間やタイミングに縛られることなく、最適な立地や間取りの住まいにフットワーク軽く引っ越せます。
  • 災害・老朽化リスクの回避: 建物自体の修繕・管理は大家に任せられます。自然災害が増える現代において、老朽化や災害時の建物のリスクを分散できるのは大きな安心材料です。
  • 老後の選択肢の多様化: 高齢者向け賃貸、サービス付き高齢者住宅(サ高住)、URなど、老後も様々な選択肢があり、必ずしも持ち家=老後の安心とは限りません。

数字で比較:持ち家・賃貸のトータルコスト

感情論ではなく、具体的な数字でコストを比較してみましょう。

持ち家の初期費用(7,000万円購入想定)

持ち家の初期費用は、物件価格の**10〜15%**程度が目安です。

費用項目目安金額備考
仲介手数料約238万円(3%+6万円+消費税)※不動産会社による
ローン諸費用約145~280万円事務手数料、保証料など
税金(印紙・登録免許)約134万円登記関連の税金
不動産取得税約150万円(軽減措置あり)※後払い
保険(火災・地震)20~50万円10年分一括など
引っ越し・家具家電60~230万円生活関連費
初期費用合計目安約750万円〜1,100万円
  • POINT: 初期費用だけで数百万~1千万円超という、賃貸では発生しない巨額の支出が発生します。

持ち家の維持費 vs 賃貸のコスト

持ち家はローン返済以外にも、「見えないコスト」がかかり続けます。

持ち家の維持費賃貸のコスト
定期支出住宅ローン返済(元本+利息)家賃+管理費・共益費
税金固定資産税・都市計画税(毎年)なし
修繕費修繕積立金(マンション)、大規模修繕費用(戸建て)なし(大家負担)
不定期支出駐車場代、各種保険料、リフォーム費用更新料(2年ごと)、引っ越し費用(数年ごと)

30年間のトータルコスト比較シナリオ例

ここでは、住宅ローン金利や将来の資産価値をシンプルに比較します。

項目賃貸(家賃25万円/30年)持ち家(7,000万円購入/35年ローン)
家賃/ローン元利9,000万円約8,700万円(金利1%)
諸費用更新料など約375万円初期費用・税金・保険など約1,750万円
合計支出約9,375万円約1億450万円
30年後の資産ゼロ住宅(時価で残存)

【結果の解釈】

  • ケース①: 30年後の住宅時価が4,000万円の場合
    • 賃貸:9,375万円の支出
    • 持ち家:10,450万円の支出 − 4,000万円の資産 = 6,450万円の実質支出
    • 持ち家の方が約2,925万円有利
  • ケース②: 金利が5年ごとに0.5%上昇、30年後の住宅時価が2,000万円の場合
    • 賃貸:9,375万円の支出
    • 持ち家:11,450万円の支出 − 2,000万円の資産 = 9,450万円の実質支出
    • 持ち家の方が約75万円不利

この比較が示すのは、「30年後の住宅の市場価値」と「住宅ローン金利」によって、結果が劇的に変わるという厳然たる事実です。特にFIREを目指す方は、この予測不可能性をリスクとして捉える必要があります。


持ち家最大の懸念点:流動性の低さと将来リスク

「家を買えば老後は安心」は本当でしょうか?

  • 金利上昇リスク: 住宅ローン金利が上がると、シミュレーションが一変します。仮に7,000万円のローン金利が0.5%上がると、年間約35万円、月約3万円の負担増となります。
  • 不動産価格下落リスク(エリア格差): 都市圏と地方で不動産価格の二極化が進んでいます。エリア選びや金利動向が資産性を大きく左右し、郊外や地方では購入価格から大きく値下がりするリスクがあります。
  • 経年劣化と修繕コスト: 築30年を超えると、新築時の輝きは失われ、大規模修繕やリフォームが必須となります。特に戸建ては修繕費用が全て自己負担となり、数百万〜数千万円の支出に備える必要があります。

実体験:筆者が持ち家を手放した理由

私自身、持ち家を経験して痛感したのは以下の点です。

  1. 持ち家は「住居費」ではなく「投資」という認識を持つべき。
  2. 将来の資産価値・ライフスタイルの変化を考慮しないと身動きが取れなくなる。
  3. 資産性の低い持ち家は、FIREを目指す上での足かせになり得る。

その結果、私は柔軟性のある賃貸に戻ることを選びました。賃貸は家賃がかかりますが、リスクを回避し、ライフプランの自由を確保できる点が最大の魅力だと感じています。


まとめ:あなたにとっての「安心」とは何か?

最終的に大切なのは、住まいに何を求め、どこに「安心」を感じるのかを明確にすることです。

選択肢メリットデメリット/リスク
賃貸柔軟性・流動性(いつでも住み替え可能)、災害・修繕リスクの回避、資産ポートフォリオの簡素化資産として残らない、老後に借りづらくなるリスク(対策可能)
持ち家資産残存の可能性、ローン完済後の住居確保、住宅ローン控除流動性の低さ、金利・価格変動・修繕リスク、初期費用が巨額

FIRE/セミリタイアを目指すなら、突発的な移住や、資産の現金化が容易な賃貸の柔軟性が現状では有利に働きやすいでしょう。

もし持ち家を選ぶなら、「立地・金利・人口動態」を徹底的に分析し、「いざとなったら売れる」資産性を重視することが、後悔しないための絶対条件となります。

あなたは、どちらの「安心」を選びますか?

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