車の維持費は「見えない固定費」
車は生活を便利にする一方で、家計にとっては“見えにくい固定費”でもあります。
実際、私の周囲でも「車は必要だから仕方ない」と所有を続ける人が多いですが、
本当にその支出は「生活に見合っている」のでしょうか。
私はこれまで車を所有したことがなく、カーシェアを中心に生活しています。
今回は、人気のミニバンを例に「車を持つ場合」と「カーシェア利用」を数値で比較してみました。
シミュレーション
| 項目 | 所有する場合(想定) | カーシェア利用(実際) |
|---|---|---|
| 車種 | ミニバン(トヨタ・ノアなど) | タイムズカー・カーシェア |
| 駐車場代 | 月3万円(都内平均) | 不要 |
| 保険 | 年8万円 | 含まれる |
| 自動車税 | 年3.5万円 | 不要 |
| ガソリン代 | 月15,000円 | 含まれる |
| 車検・整備費 | 年5万円 | 不要 |
| 購入費 | 300万円(5年で償却) | 不要 |
| 利用頻度 | 月5〜6回 | 月1回(主に旅行) |
| 年間コスト | 約151万円 | 33万円 |
【A】車を所有した場合のリアルな年間コスト
都内でミニバンを所有する場合、最も重いのは**駐車場代(月3万円=年36万円)**です。
その他に、
- 自動車税:3.5万円
- 保険:8万円
- ガソリン代:18万円
- 車検・整備費:5万円
- 購入費:60万円(300万円を5年で割る)
合計すると、年間約151万円。
5年間で約755万円にもなります。
【B】カーシェアを活用した場合(実体験)
私はカーシェアを使っており、主な利用シーンは月1回の旅行や帰省。
タイムズカーを中心に、年間利用料は約33万円。
ガソリン・保険・メンテナンス費込みで、
「乗った分だけ払う」シンプルな料金体系です。
- 清掃・点検済で手間ゼロ
- ナビ・ETC標準装備
- 保険込みで安心
- 短時間でも使いやすい
年間の差額は約118万円。
この差額を投資に回したら、どうなるでしょうか?
【C】車を40年間所有した場合のコスト(FIRE視点)
仮に30歳から60歳まで、ミニバンを5年ごとに買い替えたとします。
(=8台乗り換え、常に同レベルの車を維持)
| 項目 | 年間コスト | 40年総額 |
|---|---|---|
| 駐車場代 | 36万円 | 1,440万円 |
| 保険 | 8万円 | 320万円 |
| 自動車税 | 3.5万円 | 140万円 |
| ガソリン代 | 18万円 | 720万円 |
| 車検・整備 | 5万円 | 200万円 |
| 購入費 | 60万円 | 2,400万円 |
| 合計 | 151万円/年 | 6,220万円 |
なんと、40年間で約6,200万円。
もしこの金額を平均利回り4%で運用していたら、
60歳時点では約1億4,000万円に到達します。
つまり「車を持ち続けること」は、
“1億円の自由”を手放しているのと同じなのです。
車を持つか持たないかの境界線
車を持つかどうかの判断は、「収入」や「性格」よりも、ライフスタイル・居住地・利用頻度に左右されます。
一見「車=便利」と思われがちですが、実際にはその利便性とコストのバランスが大切です。
① 居住地の交通インフラ
- 都市部:電車・バス・タクシー・シェアサイクルが発達しており、徒歩圏内にスーパーや病院、学校もあるため、車の必要性は低いです。
一方で、駐車場代が高額(都内なら月3〜5万円)になりやすく、維持コストがかさみます。 - 地方・郊外:公共交通の便が悪く、スーパーや職場まで距離があるケースが多いため、日常生活に車が不可欠になります。特に子育て世代や共働き家庭では、移動の自由度が大きく変わります。
② 使用頻度と目的
- 高頻度利用タイプ:通勤・通学・送迎・仕事での移動・週末のレジャーなど、週4〜5日以上運転するなら、所有した方が効率的。
- 低頻度利用タイプ:月1〜2回のレジャーや買い物程度であれば、カーシェア・レンタカーを使う方が圧倒的に合理的です。
私自身もこのタイプで、主に旅行時に月1回ほど利用しています。
ガソリン・保険込みで年間約33万円。所有していたら固定費だけでそれ以上かかるため、「持たない自由」を感じています。
ただし、地方・郊外の場合: 車が生活必需品であり、仕事や子育てに不可欠な場合、「お金持ちになるまで待つ」ことで、生活の利便性や効率を著しく損なう可能性があります。この場合は、貯蓄とのバランスを見ながら、軽自動車や中古車など、維持費の低い車を選ぶという「コストを抑えた先に使う」戦略が合理的になることもあります。
FIRE・経済的自由の観点から考える
FIREの視点から見た「車」という固定費
FIREを目指す上での最大の敵は、「下げにくい固定費」です。
車はその典型で、一度所有すると手放しにくく、維持費も自動的にかかります。
- 駐車場代・保険・税金・車検は「使わなくても発生」
- ガソリン代や修理費はインフレの影響を受けやすい
- 車種によっては買い替え時の下取り価格も低下
つまり、「便利」より「固定費リスク」が勝る場合が多いのです。
車が必要な地域を除けば、カーシェアやレンタカーを活用する方が、生活の自由度と貯蓄率の両立がしやすくなります。
私の結論:車を「持たない」ことで得られた自由
車を持つ・持たないの境界線は「必要性 × コスト × ライフステージ」で決まります。
都市部での低頻度利用なら「カーシェアの方が合理的」。
FIREを目指す人にとっては、車の固定費を手放すことが最も効果的な支出最適化の一つです。
車を持たないことで、固定費も心も軽くなります。
“持つ自由”より、“持たない選択”が人生の選択肢を増やす。
これが、FIREの第一歩だと感じています。


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