はじめに:高年収エリートたちの「リッチ・クライシス」
先日、年収2000万円から3000万円という、誰もが羨む高収入を得ている友人たちと飲む機会がありました。彼らは誰もが都心の一等地で暮らし、一流企業や専門職で活躍するエリートたち。
しかし、驚くべきことに、彼らが口をそろえて言ったのは「全然お金が貯まらない」ということでした。
家賃や住宅ローンを除いたクレジットカードの月々の引き落としが、なんと80万円を超えるという状況!
なぜ彼らは、世帯年収で言えば上位数%に入るにも関わらず、貯蓄に苦しんでいるのでしょうか?彼らの生活から見えてきた、高年収者特有の「お金が貯まらない要因」を、あなたの「反面教師」として具体的に解説します。
皆さんはいくつ当てはまるでしょうか?
お金が貯まらない共通の要因(基礎編)
彼らに共通していたのは、高収入だからこそ陥りやすい、基本的なお金の管理に対する「油断」でした。
(ア) 家計管理に対する意識の欠如
「額面が多いから、細かく管理しなくてもなんとかなるだろう」という過信が、最大の敵です。
- 自分が月間いくら使い、何に使っているのかを全く把握していない。
- パートナーがいる場合も、お互いの収入や資産状況を詳しく知らない。
現状の「支出の見える化」ができていないため、どこを削ればいいのかの判断もできません。
(イ) 「なんとなく貯まる」という資産形成の甘い認識
高収入であるため、「意識しなくても気づいたら貯まっているだろう」と楽観視しがちです。
- 計画的な貯蓄や投資を行わず、給料が入るとすぐに使ってしまう。
- 定期的に家計を振り返る習慣がなく、「気づいたら使い切っている」状態で毎月を終える。
資産を増やすためには、収入額に関わらず「先取り貯蓄・投資」が大原則です。
👉家計管理の重要性を詳しく知りたい方はこちらもご参考にしてください。
【実例】地味だけど確実に数千万円貯まった家計管理術|共働き夫婦がFIREを達成した方法
高年収ならではの「生活水準の罠」(拡大編)
収入が増えたことで、無意識のうちに支出が肥大化し、「生活水準の維持」が新たな固定費になっているパターンです。
(ウ) 膨張した固定費が家計を圧迫
高収入であるからこそ選べる「ライフスタイル」そのものが、高額な固定費になっています。
- 高額な住宅費用(住宅ローン・家賃): 全員が都内23区内の好立地に住んでおり、高額な住宅ローンが毎月重くのしかかっています。
- 高額な教育費: 小学校から私立に通わせるなど、幼稚園児から塾代も払い、「貯め時」を逃しています。
- 車の維持費: 趣味でなくても、所有しているだけでかかる税金、保険、駐車場代などの維持費が積み重なっています。
(エ) 誰もが陥る「生活水準の拡大(ライフスタイル・クリープ)」
収入が増えると、支出も自然と上がってしまう現象です。高年収者ほど、このクリープ現象は顕著になります。
- サービスや商品のグレードアップ: 外食はそれなりの店、ゴルフ、高級ジム通いなど、質の高い生活を送ることが「当たり前」に。
- 「せっかく稼いでいるのだから」という意識: この「稼いだ分は使ってもいい」という意識が浪費への免罪符となります。
- 特に盲点なのがパートナーの支出。奥様がブランドバッグや靴など高額なものを購入し、自宅にモノが貯まっていくケースも多く聞かれました。自分があまり使わない人でも、パートナーの金銭感覚が貯蓄に大きな影響を与えます。
- 周囲との比較と「当たり前」の感覚: 同僚や友人たちも高年収のため、高い生活水準や支出水準を「普通」だと感じてしまい、歯止めが利かなくなります。
👉詳しく知りたい方はこちらもご参考にしてください。生活レベルを上げないことがFIREへの近道
(オ) 周囲からの見栄と「おごり」のプレッシャー
職場や社会的な地位による「見栄」や「役割」が、隠れた高額な交際費となります。
- 後輩や部下との飲み会では、全額おごるのが当たり前。これが積み重なるとかなりの金額になります。
- 「ケチだと思われたくない」「上司として当然」という心理的なプレッシャーが、見栄を張った支出につながります。
番外編:一発で資産が消える「落とし穴」
上記に加えて、高年収だからこそ狙われやすい、あるいは起こりやすい「一撃で資産を吹き飛ばす」リスクにも注意が必要です。
(ア) 離婚と資産分与
最も痛手が大きいのが離婚です。
- 築き上げた資産(例:自宅マンション)を相手に譲渡することになる。
- わずかな貯蓄や資産も半分に分与しなければならない。
- 今後、月々の高額な養育費(特に子供が私立に通う場合)の支払いが何年も続く。
離婚の原因は当人にあったとしても、パートナー選びの重要性を痛感させられる事例です。感情的な問題だけでなく、お金の面でも一瞬で負債が増え、資産がなくなります。
(イ) 安易なワンルームマンション投資
高年収者は、不動産業者の「節税」という甘い言葉に誘われやすい傾向があります。
- 節税効果は限定的。むしろ物件自体が損失を出していることが多い。
- フルローンで新築を買うパターンは最も危険。実質利回りの低さ、資産価値の下落、空室リスク、金利上昇リスクなど、様々な問題点が潜在しています。
- 投資は、自分でしっかり勉強し、目的を持って行う必要があります。
(ウ) 習慣的な浪費(酒・タバコ・娯楽)
日常的な習慣が、気づかないうちに大きな支出になっています。
| 項目 | 具体的な浪費例 | 年間コストの目安 |
| タバコ | 1日1箱(約600円)+ついで買いのコーヒーやお菓子 | 約22万円(タバコ代)+約36万円(ついで買い)=約58万円 |
| (補足) 30年間で約660万円、さらにこれを投資に回せなかった機会損失は数千万円にもなり得ます。将来の医療費増加リスクも。 | ||
| 酒・飲み会 | 1次会8,000円、2次会5,000円など。3次会まで行けばさらに高額に。帰りのタクシー代も積み重なる。 | 月2回で年間約31万円(1.3万円×2回×12ヶ月)以上。 |
| その他 | 独身男性の場合は風俗など、特定の娯楽への浪費も高額化しやすい。 |
まとめ:高年収でも貯める人になるために
彼らの事例から学べるのは、「お金を使うことは簡単だが、貯めるには意識と計画が必要」ということです。
- 貯蓄率が全てを握る:
- FIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成するためには、収入を上げることだけでなく、貯蓄率を上げることが圧倒的に重要です。
- 生活水準を固定する:
- 給料が上がっても、生活水準(固定費・変動費)を上げないことが貯蓄率を上げる最も確実な方法です。
- 目的とゴールを意識する:
- 何のためにお金を貯めるのか(家の頭金、教育費、老後の備えなど)の目的と、達成したいゴールを明確に意識し、周囲の流されないようにしましょう。
- 欲望をコントロールする力:
- 「5000万円の資産の7%は350万円」です。今すぐの小さな欲望を我慢することで、将来、配当や資産の利回りでより大きな楽しみを得ることができます。
彼らの失敗を反面教師として、収入に見合った堅実な資産形成を目指しましょう。


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