国民年金を追納したほうがいいのか?得なのか? 調べてみた

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はじめに

学生時代に免除した国民年金の未納分について、どうするべきか質問されることがあったので調べました。

結論として、個人的見解ですが、追納したほうが良いと思います。制度の概要、追納のメリット、シミュレーションなどをまとめました。


追納制度について

国民年金保険料の免除、納付猶予、学生納付特例を受けた方が、その後、経済的に納付が可能となったときなどに、本人の申し出により、免除や猶予された保険料の全部または一部を納付し、将来の老齢基礎年金の年金額を満額に近づけることができる制度です。

大学まで進学した方は、学生納付特例を利用している方が多いと思います。私も学生時代に学生納付特例を利用していました。

メリット

1年間分追納すると、全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間であれば年間で約2万円増えます(※)。

また、追納した保険料は社会保険料控除の対象となります。詳しくは「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」をご確認ください。

※納付猶予や学生納付特例の期間は年金の受給資格期間として計算されますが、追納しないと年金額には反映されません。

追納による税控除のメリット

追納した保険料は全額、社会保険料控除として所得控除の対象になります。控除額が大きいほど所得税・住民税が軽減されるため、追納の実質的な負担は額面より小さくなります。

以下はおおよその目安です。

年収追納額節税効果の目安(所得税+住民税)
300万円407,040円約6万円
500万円407,040円約8万円
700万円407,040円約12万円

※所得控除の効果は扶養状況や他の控除によって異なります。目安としてご参考ください。

追納した年の年末調整または確定申告で申請できます。日本年金機構から送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を忘れずに保管しておきましょう。


なぜ追納すると年金額が増えるのか?

年金の受給額は「納付した月数」をもとに計算されます。免除や猶予の期間はそのままでは受給額に反映されませんが、追納することで満額に近づけることができます。加入期間に応じて年金額が決まるため、不足した期間をあとから補う制度です。

【参考】年金額の計算式

847,300円 × 保険料納付済月数 ÷ 480

※昭和31年4月2日以後生まれの方


追納の対象者と注意点

追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納が可能です。

また、3年以内に納める場合は加算がありませんが、3年以上前の保険料を納める場合は加算額が上乗せされます。

追納保険料の詳細については日本年金機構のページをご参照ください。 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html

私は10年以上が経過してしまったため、追納できませんでした。検討している方は早めに手続きをされることをお勧めします。

追納の手続きの流れ

追納を検討している方向けに、手続きの流れを簡単にまとめます。

  1. 申請する 最寄りの年金事務所またはねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/)から追納の申し込みを行います。
  2. 承認通知と納付書が届く 申請が承認されると、日本年金機構から納付書が郵送されます。
  3. 納付する 納付書を使って金融機関・コンビニ・口座振替などで支払います。

手続き自体はシンプルです。ただし追納できる期間は免除・猶予を受けた月から10年以内という期限があります。対象期間がある方は早めに動くことをお勧めします。


シミュレーション

追納するケース・しないケースで、年金額がどれくらい変わるかをシミュレーションします。

前提条件

  • 学生納付特例制度で2年間(24ヶ月)年金を免除
  • 年金額の基準:847,300円(令和8年4月分からの額)
  • 追納保険料:平成28年度分 月16,850円、平成29年度分 月17,070円

追納しないケース

年金受給額:847,300円 × (480-24)÷ 480 = 804,935円(年額)/月額約67,000円

追納するケース

追納額:

  • 平成28年度分:16,850円 × 12ヶ月 = 202,200円
  • 平成29年度分:17,070円 × 12ヶ月 = 204,840円
  • 合計:407,040円

年金受給額:847,300円(年額)/月額約70,608円

追納額407,040円に対して、年間受給額が42,365円増加します。約10年で元が取れる計算です。

65歳から受給を開始するとして、76歳以降も生存していれば得になります。日本人の平均寿命は男性81歳・女性87歳ですから、多くの方にとって追納は得な選択といえます。

さらに、平均寿命より「平均余命」で考えるとより実態に近くなります。65歳時点の平均余命は男性19.47年・女性24.38年(令和6年簡易生命表、厚生労働省)、つまり平均的には男性84歳・女性89歳まで生きる計算になります。この視点で見ると、追納が得になる人の割合はさらに高くなります。

仮に85歳まで生きた場合、追納によって約44万円得することになります。


追納したほうがいいのか?

私は追納したほうがいいと思います。

国民年金は老後を支える終身保障です。老齢基礎年金は生きている間、一生涯にわたって支払われます。長生きリスクへの備えとして最優先で検討すべき選択肢です。

私自身は32歳までの間、年金について真剣に考えなかったため、追納の機会を逃してしまいました。今回のシミュレーションのように定量的に考えれば、追納はベターな選択だと思います。この記事を読まれるような老後に備えたいと考えている方であれば、なおさら追納をお勧めします。


よくある質問(FAQ)

Q1. 国民年金は破綻しないのか?

破綻しないと考えています。仮に破綻したとしても、民間保険を含めた他の手段で代替することは困難です。国民年金をベースに老後設計を考えるのが現実的です。

Q2. 追納せずに株式等で運用したほうが得ではないか?

うまくいけば投資利回りの方が高くなることもあります。ただし、投資にはリスクが伴います。国民年金は生涯にわたって一定額を受け取れる終身保障であり、投資とは性質が異なるため、単純に比較するのは難しいと思います。

Q3. 追納する経済的余裕がない場合は?

生活に余裕がないのであれば、無理して追納する必要はありません。猶予後10年以内に余裕が生まれてから改めて検討してください。

Q4. 民間保険で代替できないか?

国民年金を民間保険でカバーすることはできないと考えています。国民年金は保険料・税金(国庫負担)・積立金の運用によって支えられており、一民間企業がその規模をまかなうことは現実的ではありません。国民年金をベースとして老後資金を考えるのがよいと思います。

私自身はサラリーマンですので、国民年金+厚生年金+貯蓄+NISAを活用した運用で老後を考えています。


【番外編】追納できなかった方へ:任意加入制度という選択肢

10年が経過して追納できなくなってしまった方でも、年金を満額に近づける方法が一つあります。それが任意加入制度です。

国民年金の任意加入制度とは、20歳から60歳までの加入期間中に未納・免除・学生納付特例などがあり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たせない方、または納付期間(40年間)に満たない方が、60歳以降も希望して国民年金に加入し、保険料を納めることができる制度です。60歳以降65歳未満まで継続して加入することができます。

ただし、厚生年金や共済組合に加入している方は対象外です。厚生年金加入中のサラリーマンの方は、この制度を利用して国民年金を満額にすることはできませんのでご注意ください。


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