はじめに:その保険料、本当に“安心”につながっていますか?
多くの人が「病気になったときのために」と医療保険に加入しています。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
「そもそも病気にならなかったら?」「保険に入らず、貯金でカバーできたら?」
この記事では、医療保険が本当に必要なのか?を
公的制度、費用感、現実的なリスクと照らし合わせながら、冷静に見直していきます。
1. 日本の医療制度は、世界的にも手厚い
✅ 自己負担は「原則3割」
日本では、医療費の自己負担割合が原則3割。
たとえば10万円の治療費がかかっても、実際に支払うのは3万円です。
✅ 高額療養費制度がある
さらに、高額な治療費でも「限度額以上は国が負担」してくれる制度があります。
たとえば月収30万円の人なら、
1ヶ月の医療費自己負担は約8万円ちょっとが上限です。
🔍 高額療養費制度とは?
日本の健康保険制度には、「医療費が高額になった場合、自己負担が一定額に抑えられる」しくみがあります。これが高額療養費制度です。
高額療養費制度|月収別 自己負担上限(2025年度基準)
区分 | 年収の目安 | 月の自己負担限度額 |
---|---|---|
ア | 約1,160万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
イ | 約770万円~1,160万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
ウ | 約370万円~770万円 | 80,1000円+(総医療費-267,000円)×1% |
エ | ~約370万円 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
※自己負担はあくまで1ヶ月あたりの上限。多数回該当(3ヶ月以上)でさらに減額されることもあります。
高額療養費制度の仕組み(図解で理解する)
日本の医療制度では、高額な医療費がかかった場合でも、一定額以上は国が負担してくれる仕組みがあります。 以下の図は、年収370万円〜770万円の方が100万円の医療費を支払った場合の例です。

出典:厚生労働省「高額療養費制度のご案内」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/kougaku.html)
つまり、自己負担は最大でも87,430円程度に抑えられることがほとんどです。
2. 会社員には「付加給付」もある
会社員の方が入っている健康保険には、「付加給付」という制度がある場合があります。
これは、高額療養費制度でカバーされなかった残りの医療費を、さらに補助してくれる制度です。
✅ たとえばこんなケースがあります:
健康保険組合 | 自己負担上限(月額) | 備考 |
---|---|---|
東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK) | 2万円 | 月ごとに上限あり |
日本IBM健康保険組合 | 25,000円 | 出産費用も補助あり |
協会けんぽ(中小企業が多い) | 基本的に付加給付なし |
※組合ごとに内容は異なります。加入中の健康保険証の裏面URLなどから確認できます。
📌 ワンポイント説明:
仮に100万円の医療費がかかっても、
高額療養費で約9万円 → さらに付加給付で「2万円まで」で済むケースもあります。
3. 医療費控除で“あとから戻ってくる”仕組みも
年間10万円以上の医療費がかかった場合、確定申告で一部が還付される医療費控除も使えます。
これも、医療費が自己負担になった場合の“保険”の一種です。
4. 医療保険の「安心」の正体とは?
- 医療保険は、入院・通院時に定額が支払われる制度
- でも、保険に入っていても病気が治るわけではありません
結局、「お金の支え」よりも「病気にならない生活習慣」や「心の安心感」のほうが大切では?
そう考えると、まず貯金を優先し、“必要なときに使う”ほうが合理的です。
5. 医療保険に入らないという選択
私は医療保険には入っていません。理由はシンプルです。
- 高額療養費制度と付加給付制度で、実際の負担は十分抑えられる
- 健康保険・企業制度・貯金でカバーできる
6. がん保険も基本的に不要と考える理由
- がん治療も同じく高額療養費制度が適用される
- 通院型の抗がん剤治療が増えており、保険の対象外となるケースもある
- 入っていても全額がカバーされるとは限らない
がん保険に入っていても、がんは治らない。
だからこそ、「金銭的な安心」より「生活習慣と貯金」が大切だと思っています。
7. 医療保険の平均保険料とその重さ
- 医療保険の年間保険料:平均約5万円
- 30年払い続けたら約150万円
→ ほとんどの医療費はカバーできる貯金になります
まとめ:医療保険は“入る”のではなく“使わなくてもいい人生”が本質
項目 | 補足 |
---|---|
自己負担割合 | 原則3割(収入によって2割・1割も) |
高額療養費制度 | 月8万円程度が上限(収入による) |
付加給付制度 | 月2万円程度に抑えられる企業も |
医療費控除 | 年10万円以上で一部還付あり |
保険料の代替 | まず貯金、次に投資で備える |
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